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2011年 9月の園だより
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このことは、小学生が心おきなく安全にボランティアできるように、大人側だけの準備作業のつもりでしたが、ボランティアに来た小学生から「他の保育園や幼稚園は何も言われなかったのに」と言っているのを聞いて、危機管理体制の一環として、大人がすべき基本事項をしたにも関わらず、大人の誰かが、子どもの前で、当園のボランティア受け入れを他の保育園や幼稚園と比較して言われたのだという事が推測でき、非常に残念な思いをしました。
子どもの前でのこのような大人の姿勢について、エッセイストの佳川奈未さんが『本当に大切なものは目に見えない』(PHP研究所)に書いておられるのを思い出しました。紹介します。
私の子どもがまだ幼稚園の頃、運動会の練習をしていた時、担任の先生が転んでしまって、膝を擦りむいて、血を流してしまったのです。
すると、私の子どもが、先生に駆け寄って、自分のハンカチが先生の血をふいて「先生、大丈夫?痛いの痛いの飛んでけ~!」と血が止まるまで、ハンカチで傷口を押さえ、小さな手で、先生の背中を摩っていたというのです。
「ヒロくん、ありがとう。でも、いいよ。ヒロくんの大事なアンパンマンのハンカチが汚れちゃうから。でも、ヒロくんはどうしてそんなに優しいの?」と先生が聞くと、「僕が転んだ時、ママも大事なハンカチで怪我したとこを拭いてくれたから」と言ったというのです。
そして、先生は、後日、私にこんなふうに話してくれました。
「子どもって、お母さんがしていることを見て学んで、身につけるんですよね。きっとお母さんが、優しさのお手本を毎日いろんな所で見せておられるから、ヒロくんはそれが自然に出来るのでしょうね。
たとえば、子どもに“優しい子にならなきゃダメよ”とか“人を思いやりなさい”とか、立派なことを言うお母さんが多くても、実際には、ご近所の誰かを仲間はずれにしたり、家で誰かと電話していても、人の噂話や、悪口ばかり言っていたり、いつも誰かを見下したようなことを言っていたりしたら、子どもって、そんな母親のしていることを見ていて、実際にそれを言ったり、真似したりするんですよね。自分が小さくて、まだわけのわからないうちは。
だから、私も幼稚園でこうして働いている私のやっていることが、そのまま子ども達に伝わるんだなと思いながら、よく考えて行動しようと、使う言葉や自分のする態度に気をつけようと、思っているんです……」と。
子どもは、小さいうちは分別がつかないから、最初は良いも悪いも何も持ち合わせていなくて、見たもの・聞いたもの・ふれたもので、経験や習慣の中で、何かを体得していくからこそ、育てている大人や、周りにいる大人が、気をつけなくてはいけないことが多いのですね。
今の世の中に必要なのは、子育て論ではなく、“親育ての人間論”のような気がします。
人間的であることで、愛情を正しく注ぐことで、子ども達を素敵に導けることや、教えられることがいっぱいあるのです。
園長 野田 武