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2022年 5月の園だより
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皆さんご存知の「チューリップ」の歌詞は、
咲いた 咲いた チューリップの花が
並んだ 並んだ 赤白黄色
どの花見ても きれいだな
と、ただ一つの花だけがきれいなのではなく、どの花も等しくきれいに咲いている。それが素晴らしいと言っています。
松尾芭蕉の句のなかにも「草いろいろ おのおの花の 手柄かな」と同じ心情を詠んだ句があります。
「チューリップ」の歌や、芭蕉の句は、人には一人ひとり個性があり、その個性が大事ですよと言うことと相通じます。
子育てとは、将来、自分の子どもが親を頼らず、自立できるように育てることですが、次に配慮することは、子どもたちは、子どもたちなりに、自分が両親から生まれた「かけがいのない存在である」ことに気がつき、自尊心を持っているということです。
ですから、上田紀行 東京工業大学大学院教授は、「人とは「一人ひとり生きる」意味を持った存在であると捉え、一人ひとりの中の「内的成長」を見ていくことが大事である。それは「この人の中では、「生きる意味」が成長しているのだな」と感じる感受性である。子どもや若者に対しても、彼らの「生きる意味」には今何が起こっているのかを想像しながら付き合っていく。様々なつまずきや苦悩に対しても、それを「内的成長」の側から見ていく努力である。」(上田紀行『生きる意味』岩波新書)と述べておられます。
更に、上田先生は「私たちが苦悩しているとき、困り果てているとき、その苦しみの声を聴いてもらった体験は、確実に自分自身と世界への信頼を深めるものだ。」と「他者の声を聴く」重要性も指摘しておられます。(同上)
また「私たちの到達点は、自分自身で自らの「生きる意味を創造していく社会」である。それは一人ひとりがオリジナリテイ―のある生きる生き方を獲得する社会だと言ってもいい。ここで言うオリジナリテイ―とは、「他の人とは違う」という意味ではない。(中略)私が私自身の「生きる意味」を創造する中で結果的に他人と同じ結論に至るのならば、それは私のオリジナリテイ―なのだ。(中略)私の生きる世界に意味を与える存在という点で世界の中心は私自身にあるのだ。しかし、それは「自己チュー」の世界ではない。なぜなら私自身が意味を生み出す中心であることを認めるとき、私たちの周りには私だけでなく沢山の中心があることが分かってくるからだ。あの人もまた自分自身の「生きる意味」を生み出しながら生きているひとつの中心である。そしてあの人も・・・・」と付け加えておられます。
チューリップの歌や芭蕉の句にこのような意味が込められているような気がしませんか。
園長 野田 武