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2011年 5月の園だより
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しかし、当園の先生方の手ほどきで、泣きながらでも挨拶をしたり、教室へ入ると、泣きながらでも活動に参加している姿を見て、もうすぐ泣かずに、皆と活動してくれるものと期待しています。
『しぐさで子どもの心がわかる本』(福田俊一、増井昌美著、PHP研究所)に、このような子どものしぐさの裏に子どもがどのような思いでいるのか、具体例を挙げて説明してありました。
それによりますと、子どもが出す「しぐさ」には二種類あるそうです。
一つは子どもが意図的に出すしぐさ、つまり相手に何かを伝えたい、察して欲しい時に出すしぐさです。言いたいこと、察して欲しいことを言葉で伝えることができない時、子どもはその感情をしぐさに出します。先ほどの玄関での涙は家族に対する強い信頼の証です。このように自分のっ感情をしぐさで表せる子は、とても健全です。して欲しいこと、して欲しくないことなど、自分の感情に気づいて伝えようとしているからです。
もう一つは、無意識に出すしぐさです。子ども自身が出そうと思ってだしているのではなく、心のSOSであることがよくあります。心のわだかまりが重なってしんどさを感じているけれど、それが何かしっかりと言葉で表せないという葛藤状態です。もうこれ以上辛抱できないという「心の叫び」としてのしぐさであることが多いとのことです。
子どもの出す後者のしぐさは、親や教諭・保育士に認識されていないことが多く、見落とされやすいことが往々にしてあります。
たとえば、「やたらと甘える」「やたらと手を洗う」「目をぱちぱちさせる」「あまり食事をとらない」「おもらし、おねしょをする」「指しゃぶりをする」「髪の毛をいじる」「どもることが多くなる」「寝つきが悪い」「ぬいぐるみをよく抱きしめる」「無表情になる」「親の顔をちらちらと見る」などのしぐさは、その子の単なる癖だと思いがちですが、そのようなしぐさが出たら、子どもの心に変化が起きており、その変化に気づくことが大事です。
それでは、子どものわずかなしぐさを読み取るには、どうすればいいのでしょうか?それは、日頃から子どもへの観察力を研ぎ澄ますことです。そうは言っても、毎日忙しい方は、いつも子どものことばかり考えてはいられまえんね。しかし、そのような現実の中でも、ちょっと工夫すれば、子どもが出すしぐさのメッセージに気づけるとのことです。
それは、子どもがどんな時に一番生き生きと話しているかを日頃から観察し、それが例えば夕食の時なら、その時だけでも、しっかりと聞き役に徹することです。お母さん以外の家族と話しているときも、多くのしぐさを出しています。この場面ではしっかり子どもを見てやる、この場面では家事に専念、というようにメリハリをつけることで、子どもを観察する目が磨かれていくということです。
子どもの普段の状態を知っておれば、子どもが出す何気ないしぐさに「おやっ」と気づくはずです。また、子どもに出来るだけ話をさせて、子どもを多面的に捉えるようになると、子どもの全体像が見えてきます。子どもの全体像をつかんでいると、子どもの小さな変化にも気づき、正しい判断ができ、適切に対応が出来るとのことです。
園長 野田 武